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<問題>
AはBに対し金銭債権を有しているが,支払い期日を過ぎてもBが支払いをしないので,消滅時効が完成する前にBに対して支払いを求める訴えを提起した。民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。なお,この金銭債権の消滅時効期間は5年とする。
- AのBに対する勝訴判決が確定した場合,時効は新たに進行を開始しその時効期間は10年となる。
- 訴えの提起前6月以内にAがBに債務の履行の催告をしても,時効が中断されるのは,訴えを提起したときである。
- Aが訴えを取り下げた場合,Aの金銭債権はAがその取下げをした日から5年間権利を行使しないとき消滅する。
- BがAに対する債権を有する場合において,その債権が既に時効により消滅しているときは,その時効完成前にAの金銭債権と相殺し得る状態にあったとしても,Bは相殺することはできない。
<解説>
- 正∵174条の2第1項
- 誤∵「訴えを提起した」ことによって、時効の中断が生じます(147条1号)。
そして、催告後、時効中断の手続きをとった場合、時効の中断効は催告時に生じます(153条)。
本肢では、「訴えの提起前6月以内にAがBに債務の履行の催告をして」いるので、時効の中断効は催告時に生じます。
したがって、「時効が中断されるのは,訴えを提起したとき」とする本肢は誤りとなります。
- 誤∵裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。(149条)。
本肢では、Aは訴えを取り下げていますので、時効の中断はなかったことになります。
したがって、消滅時効は支払期日より5年で消滅します。
以上から、「取下げをした日から5年間権利を行使しないとき,消滅する。」とする本肢は誤りとなります。
- 誤∵時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができます(508条)。
本肢では、「時効完成前にAの金銭債権と相殺し得る状態にあった」ので、Bは相殺することができます。
したがって、「相殺することはできない」とする本肢は誤りとなります。
<正解>1
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