<問題>
Aが有する権利の消滅時効に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
- Aが有する所有権は、取得のときから20年間行使しなかった場合、時効により消滅する。
- AのBに対する債権を被担保債権として、AがB所有の土地に抵当権を有している場合、被担保債権が時効により消滅するか否かにかかわらず、設定時から10年が経過すれば、抵当権はBに対しては時効により消滅する。
- AのCに対する債権が、CのAに対する債権と相殺できる状態であったにもかかわらず、Aが相殺することなく放置していたためにAのCに対する債権が時効により消滅した場合、Aは相殺することはできない。
- AのDに対する債権について、Dが消滅時効の完成後にAに対して債務を承認した場合には、Dが時効完成の事実を知らなかったとしても、Dは完成した消滅時効を援用することはできない。
<解説>
- 誤
∵ 所有権は消滅時効の対象となりません。
本肢では、「時効により消滅する」としており、この点が誤りとなります。
- 誤
∵ 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない(392条)。
本肢では、債務者である「B」に対して「抵当権は〜時効により消滅する」としており、この点が誤りとなります。
- 誤
∵ 消滅時効が完成した後であっても、それ以前に受動債権と相殺し得る状態にあったときは時効消滅した債権を自動債権として相殺することができます(508条)。
本肢では、「相殺することはできない。」としており、この点が誤りとなります。
- 正
∵ 「信義則上、時効の援用はできない。」とする判例があります。
本肢は「完成した消滅時効を援用することはできない。」としているので、正しいことになります。
<正解>4
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