<問題>
Aは、土地所有者Bから土地を賃借し、その土地上に建物を所有してCに賃借している。AのBに対する借賃の支払債務に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- Cは、借賃の支払債務に関して法律上の利害関係を有しないので、Aの意思に反して、債務を弁済することはできない。
- Aが、Bの代理人と称して借賃の請求をしてきた無権限者に対し債務を弁済した場合、その者に弁済受領権限があるかのような外観があり、Aがその権限があることについて善意、かつ、無過失であるときは、その弁済は有効である。
- Aが、当該借賃を額面とするA振出しに係る小切手 (銀行振出しではないもの) をBに提供した場合、債務の本旨に従った適法な弁済の提供となる。
- Aは、特段の理由がなくても、借賃の支払債務の弁済に代えて、Bのために弁済の目的物を供託し、その債務を免れることができる。
<解説>
- 誤
∵ 474条の利害関係とは法律上の利害関係のことを意味します。
ここで、Cは賃借人でありますから、法律上の利害関係を有するといえます。
とすれば、CはAの意思に反して債務の弁済をすることができますので、本肢は誤りとなります。
- 正
∵ 代理人と偽った者への弁済であっても、478条の射程に含まれます。
したがって、478条の要件を満たせば、順占有者に対する弁済として保護されます。
あとは、478条を参照してください。
- 誤
∵ 小切手 (銀行振出しではないもの)は債務の本肢に従った弁済とはいえません。
よって、本肢は誤りとなります。
- 誤
∵ 供託できる場合は、民法上定められています。
本肢では、供託できる場合にあたりませんので、この点が誤りとなります。
<正解>4